入試出典本分析後編 読書の習慣は一生の財産
- akira/中学受験Walker

- 2025年3月4日
- 読了時間: 5分
首都圏の大手中学受験塾で教室長をしているakiraと申します。今年は定期的にブログを書いていければ思っています。XやYouTubeでも「中学受験Walker」の名前で情報発信していますので、こちらの方も興味ある方はぜひご覧ください。
はじめは入試や模試に出るかもしれないからと作品を読み始めた子ども達も入試を終える頃になると読書が習慣になっています。入試を通して身についた読書の習慣は一生の財産です。もしかしたら入試の合否以上に人生に影響を与えることになるかもしれません。本の面白さに気づいた人は入試が終わっても今年の注目の本を読んでいるそうです。皆さんもそんな先輩に続けるように一冊手に取ってみてください。中学受験生活、そして人生をプラスの方向に少しずつでいいので変えていきましょう。読書にはその力があると信じています。
『八秒で跳べ』 坪田 侑也 2024/2/10 文藝春秋
開智2、共立女子1、栄東東大Ⅱ、聖光学院帰国の4校で出題されました。開智、栄東と出題が相次いだので、1月中に子ども達に紹介をしました。SNSでも評判が良い本でした。
“「あれがきっかけで、梅太郎はずっと景のことを追いかけているんだよ。尊敬してて、同時にこいつだけは負けたくないって思ってる」”(『八秒で跳べ』より)
『リカバリー・カバヒコ』 青山美智子 2023/9/21 光文社
栄東東大特待、佐久長聖1、東洋大京北1の3校で出題されています。昨年の芝2次は第4話「勇哉の足」でした。第1話「奏斗(かなと)の頭」を読みたい方は光文社のnote にもアップされています。2024年本屋大賞7位の作品ということもあり多くの人に手に取られた作品です。
青山美智子さんは入試頻出著者でこのほかにも「お探し物は図書室まで」が東洋英和Aと早稲田2で、「ただいま神様当番」が、かえつ有明1 で「月の立つ林で」が西大和学園(奈良)で出題されています。また、2025年も本屋大賞に「人魚が逃げた」がノミネートされています。
“ちょっと違うかな。人間の体はね、回復したあと、前とまったく同じ状態に戻るというわけじゃないんだ。”(『リカバリー・カバヒコ』より)
『17シーズン 巡るふたりの五七五』 百舌 涼一 2024/2/26 講談社
晃華、頌栄2、専修大松戸1の3校で出題されました。今後も俳句や短歌をテーマにした本は狙われる可能性があります。過去には「リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ」「そらのことばが降ってくる: 保健室の俳句会」なども出題されています。
“「『色のない 虹を見たこと ありますか』気づけば「五・七・五」が、「十七音」が、音々のつくった「俳句」が、口から勢いよく放たれた。」”(『17シーズン 巡るふたりの五七五』より)
出題校は少ないですが、注目したい作品を紹介します。
『春、出逢い』 宮田 愛萌 2024/8/9 講談社
筑波大学附属、立教新座1の2校で出題されています。狙われやすい短歌がテーマです。発売日が遅いということもあり来年以降も出題の可能性があります。また、宮田 愛萌さんは女性アイドルグループ日向坂46の元メンバーでもあります。
“しかし、俺の心の準備がまだはじまってもいないうちに審査員による投票は終わり、あっという間に四対一で朱那ちゃんが勝った。それが俺には少し意外で、ほっとしつつも、そうなのか、と思う。”
(『春、出逢い』より)
『藍を継ぐ海』 伊与原 新 2024/9/26 新潮社
第172回直木賞(2024年下半期)受賞作品です。直木賞受賞作品は過去にも出題されています。「八月の御所グラウンド(170回(2023年下半期))」「夜に星を放つ167回(2022年上半期)」
2024年下半期の直木賞の発表が2025年1月15日でしたので発表後に読むのはさすがに難しかったかなと思います。おなじく伊与原 新さんの作品では「月まで三キロ:アンモナイトの探し方」が日大三島と頌栄1で出題されています。
“「この子たちはみんな、勇気がありますね」この海の向こうに、何があるかわからないのに。待ち受けているのは、きっと大変な試練ばかりなのに。」”(『藍を継ぐ海』より)
『5文字で四字熟語』 すとう けんたろう 2022/6/1 講談社
少し前の本ですが物語文でも論説文でもない本が入試に出題されたので紹介しておきます。今年付属校人気で話題の立教池袋で素材文として出題されました。かなり珍しいですね。語句に苦手意識を持っている人にとっても読みやすいのでぜひおすすめします。私は同シリーズの『5文字で百人一首』も愛読しています。
“たとえば、よく耳にする四字熟語を5文字であらわすと……? 意気消沈→「もうダメだ」 紆余曲折 →「色々あった」 危機一髪→「超あぶない」 言語道断→「話にならん」 阿鼻叫喚→「うわひどい」
付和雷同→「イエスマン」 岡目八目→「野次馬目線」 一気呵成→「ぶっとおし」“
(『5文字で四字熟語』より)
最後に論説文です。出版社別で見ると圧倒的にちくまプリマ―新書が多いです。(のべ65校)論説文はなかなか手に取りづらいですが、模試で出題された素材文で、ちくま―プリマ―新書のものだけでも読んでみるのはどうでしょうか。
『わからない世界と向き合うために』 中屋敷 均 2024/2/8 ちくまプリマー新書
愛光、鷗友学園女子2、晃華、市川1、大妻多摩1、共立女子1、昭和秀英1、高輪A、桐蔭1、日本大学A1、富士見3、茗渓学園2、山脇A、横浜共立A、立教女学院、甲陽学院、神奈川学園C 17校で出題されています。これは昨年の『増えるものたちの進化生物学』よりもかなり多く感じます。愛光、市川と続いたところで紹介をしました。中には購入して読んでくれた子もいました。読む気になれば2時間あれば読めます。直前期にすすめたこれらの本を手に取って読んだ子、時間がない中でも1点を取ろうと動いた子は合格しています。これだけ多くの学校の先生が選ぶ本ですからぜひ手に取って読んでみてください。
“しかし、現実の世界を生きていくということは、実はそんなものではない。どんな選択をしてもそれに伴うリスクが必ず存在し、現実の問題の多くには、そもそも絶対正しい「正解」なんてない。”
(『わからない世界と向き合うために』より)
2回にわたって多くの本を紹介させていただきました。私の教室でも本好きな子は紹介した本はすべて読んでくれています。そして難関校に合格を勝ち取っていきました。親御さんも驚くほどの読書習慣がついたようです。入試に出た本ですが、今回紹介した本はさらに読んで面白いものを集めています。きっと気に入ってくれる1冊が見つかるはずです。そしてその愛読書を入試会場に持っていきましょう。必ず強い味方になるはずです。






