入試出典本分析前編 2月から5月は書店に行け!
- akira/中学受験Walker

- 2025年3月4日
- 読了時間: 6分
首都圏の大手中学受験塾で教室長をしているakiraと申します。今年は定期的にブログを書いていければ思っています。XやYouTubeでも「中学受験Walker」の名前で情報発信していますので、こちらの方も興味ある方はぜひご覧ください。
2025年入試もようやく終わりを迎え、手元に入試問題がだいぶ集まってきました。このタイミングで2025年の入試素材文の傾向をふり返ってみましょう。入試に出題されやすい本の特徴を知っておくと入試で有利になることは先輩達が証明しています。
私が考えている入試素材文の傾向は以下の3点です。
・新刊本(前年の9月から今年の8月ごろまで)
・主人公は少年少女。その方が中学受験としては問題が作りやすいです。
・書店が力を入れて販売している本(ノミネート作品、受賞作品、中学受験人気作家の新作)
それだけ先生の手に取ってもらえる可能性も増えます。マーケティング的な切り口です。
具体的な作品を紹介しながら詳しく説明していきます。
2月上旬に入手できたのべ200校400題の入試問題を分析しました。その結果4割の素材文は2023年の9月~2024年の8月ごろまでに発売された本から出題されていました。新刊本から出題される傾向は今後も続きそうです。
来年以降入試を迎える皆さんはまずは、今回紹介した中から興味がある本を手に取って読んでみてください。学校の先生方が入試問題に採用した注目の本です。時間をかけて読む価値が非常に高いです。
次に今後の模試で出題された素材文の中で出版時期が2024年の9月以降の本であれば2026年入試に出題される可能性が高いです。模試の問題を取っておいて入試直前期に読む直すことはもちろん、夏休みなど時間があるときにじっくり素材文に当たって読んでみてください。
特に出題が多かった本に限れば、2月から5月に発売日が集中しています。中学の先生方は入試が終わったらすぐ来年の入試の準備として書店へ向かっているのでしょう。来年以降受験される方はこの時期ぜひ書店へ足を運んでみてほしいです。また今回紹介する物語文の共通点は、主人公が小学生から高校生の子ども達となっていて受験生にとっては感情移入しやすい内容になっています。子どもが主人公だと中学受験国語の重大テーマである「他者理解」や「挫折と成長」をテーマにしやすいのも採用される理由でしょう。出題が集中した本を出題校が多い順に紹介していきます。
『あの空の色がほしい』 2024/5/30 河出書房新社
今年の最多出題8校です。ぜひ買って読んでみましょう。2/1の時点で、複数校出題があったため6年生に紹介したら、海城2、三輪田2で出題されてとても感謝されました。入試は1点が勝負です。そして国語の1問が当たるのは大きいです。まず、国語はほとんどの入試問題では1科目目です。ここで波に乗れると強いのです。次の科目、算数もうまくいくことが多いです。(もちろん逆の経験も皆さんしたことがありませんか? 国語で失敗すると次の算数に響くという経験は誰しもあるでしょう。)国語の文章一題は配点だと30点から40点分あります。これは知っている本と初めて読んだ本では大違いでしょう。読んだことがある本だと子ども達は落ち着いて読むことができるようです。実際子ども達はこれらの本を1回ではなく何回も読んでいる子もいますから内容もかなり自分の中に落とし込めた状態で読めてより深く理解できます。中には文章を読まずに問題を解いたという子もいました。
大妻1、海城2、久留米大学附設、慶應湘南藤沢、國學院久我山1、サレジオ学院B、三輪田2、横浜共立Aの8校で出題されています。
“「それからマコは変な子じゃない。ユニークって言葉知ってる? 『唯一無二の特別な存在』って意味なのよ。マコは変な子じゃなくてユニークな子だとママは思うよ」”
(『あの空の色がほしい』より)
『透明なルール』 佐藤 いつ子 2024/4/24 KADOKAWA
吉祥女子1、栄東B、城北1、昭和女子A、鶴見大附属、立教女学院、早稲田実業の7校で出題確認。場所も体育祭のスローガンを決めるシーンが多く、的中率が高い作品でした。前評判も高く、対策している人が多そうなので平均点が高くなったかもしれません。中学受験は国語も情報戦と言えそうです。
“「だからわたしは、どんな意見であっても、みんなで、自由に、言い合いたい」教室が、静まりかえった。”(『透明なルール』より)
『アルプス席の母』 早見 和真 2024/3/15 小学館
愛光、海陽中等1、佼成学園1、淑徳東大3、山脇国語1科、ラ・サール、立教池袋の7校で出題。寮がある学校以外からも出題されました。私も今年一番おもしろく読んだ本です。きっと先生方も気に入ったはず。本屋大賞にもノミネートされています。それだけ書店も推していたので、多くの人の手に取られたのでしょう。本屋大賞ノミネートの発表は2/3なので入試前に本屋大賞ノミネートの本を知ることは残念ながらできませんが、ノミネートされるということは書店で力を入れて販売されている可能性が高いです。ぜひリアルな書店に足を運ぶことをしてみましょう。350pの大作ですが、じっくり読んでほしい本です。出題箇所が重なるときは重なりますが、切り取られた場面が違うということはそれだけ国語の先生が出題したい箇所が多いということでしょう。また、早見和真さんの3月発売の新作『問題。以下の文章を読んで、家族の幸せの形を答えなさい』は中学受験がテーマの本なので注目しています。来年の入試でも出題される可能性は高いでしょう。
“「チームのためなんて思わなくていいからね。自分のためだけにがんばりな」「わかっている」「明日は航太郎の人生が決まる日だよ」勝手に熱くなっている母親にすることなく、航太郎は最後までまっすぐに「そうだね。悔いがないようにやってくる」と言い切った。”
(『アルプス席の母』より)
『ぼくの色、見つけた!』 志津 栄子 2024/5/23 講談社
跡見1、大妻3、鎌倉女学院1、暁星1、日本大学A1、横浜雙葉1の6校で出題。夏休み前から紹介をしていたこともあって多くの生徒が目を通していてくれたようです。非常に読みやすいので読書初心者の方や小学6年生以外の方にもおすすめします。世界が広がります。主人公は、「色覚障がい」という共感されにくい悩みを、どのように克服していくのか考えながら読んでみてください。
“ぼくが思っているほど、人は気になんかしないってことがわかった。”
(『ぼくの色、見つけた!』より)
『カラフル』 阿部 暁子 2024/2/26 集英社
神奈川学園A、芝1、日本大学第三1、明大八王子A1、森村学園1の5校で出題。こちらも「透明なルール」同様、切り取り箇所が予想しやすく、学級委員を決めるシーンが切り取られています。
“「けど、それでも、私はこれを個性とは言わないでほしい」「私はやっぱり、自分の足で歩けるようになれるなら今すぐそうなりたい」”(『カラフル』より)
今回は特に出題が多かった作品ベスト5を紹介しました。後編ではその他に注目したい作品を紹介します。






