【中学受験】「学力」と「得点力」は別物!?
- ユウキ先生
- 5月2日
- 読了時間: 4分

中学受験を目指すご家庭から、よくこんな相談を受けます。
「うちの子、けっこう頑張ってるんです。でも、なかなか点数が取れないんです…」
これは珍しい話ではありません。むしろ、真面目に取り組んでいる子ほど、この壁にぶつかりやすい。
なぜか?
理由はとてもシンプルです。
「学力を伸ばすこと」と「テストで点数を取ること」は、まったく別の力だから。
たとえば、漢字や公式を覚えるのは“学力”。一方で、試験の限られた時間内に、その力を引き出して点につなげるのは“得点力”。
この2つは似て非なるものです。
にもかかわらず、多くのご家庭ではこの2つをごちゃ混ぜにして練習している。だから、**「わかってるはずなのに取れない」**という現象が起きるわけです。
「学力を伸ばす」ために必要な3つの視点
まず、「学力を伸ばす」とは、知識や解法を理解し、使える状態にすることです。ここでは、定着のために意識しておきたい3つの視点をご紹介します。
① 反復の回数は“3回”が基本
1回解いて終わり。これではほとんどの場合、翌週には忘れています。
1回目は理解、2回目で整理、3回目で定着。この“3回スパン”での反復を、1週間のなかに意識的に組み込むだけで、学力の伸びが変わります。
② 記憶を支えるのは「音」と「図」
理科・社会の暗記では、耳からの情報(音声)と、目からの情報(図や表)を併用すると記憶の定着がグッと高まります。
おすすめは「音声を聞きながら、教科書に指をなぞる」方法。通塾の行き帰りや朝の支度中など、“ながら学習”でも効果があります。
③ 「説明させる」で、理解は完成する
お子さんに、こう聞いてみてください。
「どうしてこの式を使うの?」「なんでここで引き算するの?」
本人の口から説明が出てくるとき、はじめて“理解できた”と言えます。
「テストで点を取る」ために必要な3つのトレーニング
では、学力があっても点数が取れない子は、何をすべきか。
答えは、“テストで点を取る訓練”です。これは、技術です。慣れです。つまり、鍛えられます。
① テスト中の様子を「録画」して振り返る
これは私が推奨しているメソッドのひとつです。
模試や過去問、週テストを解く姿を、スマホで手元だけ撮影する。その動画を、親子で一緒に見返す。
「ここで図を書き直してるね」「ここ、問題ちゃんと読んでる?」「ここで慌ててるね」
…こんな風に、本人が“自分を客観視する”経験が、最も大きな変化を生みます。これは「メタ認知力」と呼ばれる力です。これが育つと、子どもは一気に変わります。
② ミスを「分類」する
たとえば、算数でミスが起きたとします。でもそれは単に「計算ミス」とまとめるべきではありません。
数字の写し間違いか
暗算で省いた式が原因か
問題の条件を読み飛ばしたのか
問われている内容と違う答えを書いたのか
ミスを分類し、**どんな原因がどれだけ起きているのかを“見える化”**します。これが、「点数を上げる」ための第一歩です。
③ ラスト10分の過ごし方を“訓練”する
組分けや模試で、「あと10分あれば…」という経験、ありませんか?
でも実は、この「ラスト10分の使い方」が得点力の差を生みます。
自分が解いた問題を見直す
書き忘れ、単位ミス、計算ズレがないかをチェック
難問に固執せず、飛ばした問題の再確認を
この時間の使い方を練習することで、20点以上アップすることも珍しくありません。
「できるのに点が取れない」を乗り越えるには
結論です。
インプット(学力)とアウトプット(得点力)は分けて鍛えましょう。
片方だけ鍛えても成績は伸びません。両方そろって、初めて“合格ラインの力”になります。
家庭で取り組むなら、
平日は「知識の理解」「反復」「暗記」
週末は「テスト演習」「録画とフィードバック」
という形で、学習の“目的”を分けることをおすすめします。
おわりに:本番で力を出し切れる子になるために
中学受験で大切なのは、「どれだけ知っているか」だけではありません。「どれだけ“出せるか”」です。
本番で力を出し切るには、それ用の練習が必要です。そして、それは今からでも間に合います。
「どうして点数が取れないんだろう」と感じているご家庭にこそ、今日の話を、ぜひ意識してもらえたら嬉しいです。
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