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【新学年を迎えて】国語の学力を伸ばすためには?⑩<論理力・抜き出し問題>

更新日:4月1日




【国語を読み解く10のロジック】

さて、前回のおさらいからです。

次の文章を題材に抜き出し問題を作るとしたら、どこを下線部にして作問し、どこを解答にしますか?

(しかし、横書きの文章で作問するのは慣れなくて難しいですね。。。)


…………………………………………………………………………………………………………… 「仕事をマニュアル化する」という言い方をした場合の「マニュアル」も手引き書という意味で、仕事の手順を文章などにまとめたものを言います。仕事をするときに、作業手順などの「マニュアル」を作っておけば、誰がやっても仕事内容に大きなぶれや失敗が生じにくくなり、仕事の安定化が図れます。「マニュアル」をきちんと読めば製品を使えるように、仕事も「正しく」「安全に」こなせるということでしょう。ファミリーレストランやコンビニエンスストアなどで客に対応する店員のことばづかいを思い出してみてください。「いらっしゃいませ、こんにちは。ご注文はお決まりでしょうか」といったように、いつでも、どの店員でも、しかもどの店舗でもまったく同じ言い回しで、客に失礼のないようにことばづかいまで「マニュアル化」しているのです。多店舗展開している外食産業や、加盟店を募ってチェーン展開する企業などにとっては、いまや「マニュアル化」は欠かすことのできない方法となっています。

 しかし、このような「マニュアル化」には、よい面ばかりがあるわけではありません。

(中略)

 また、次のような場合を考えてみてください。会社などの組織では、部下は上司の指示や命令を受けて仕事をし、様々な場面で上司の判断を仰ぎますが、特に、事故など緊急時の対応については、上司や責任者と連絡を取ってから対処するように「マニュアル」が作られていることがあります。けれども実際に事故が発生したとき、「マニュアル」どおりに行動することが必ずしもよい結果を生むとは限りません。たとえば、上司との連絡に手間取ったり、責任者の判断が下るのに時間がかったりして、現場の状況に応じて柔軟な対応をしていれば防げたはずの深刻な事態を招いてしまうようなこともあるでしょう。

 さきほど私は、仕事を「マニュアル化」することによって、誰がやっても仕事内容に大きなぶれや失敗が生じにくくなり、仕事の安定が図れると述べました。それは見方をかえれば、仕事に従事する者の考えや判断を排除する方法が「マニュアル化」だということでもあります。したがって、「マニュアル」どおりの仕事からは、新しいものや新しいやり方は生まれてきません。また、「マニュアル」は想定されることがらに対応するように作られていますので、想定外の状況に対しては対処できません。近年、仕事に限らずこうした作業の「マニュアル化」が進み、私たちには「マニュアル」のある生活が当たり前になっています。しかし、行動を「マニュアル化」し、それに慣れてしまうことによって、創意工夫や臨機応変の姿勢が失われる危険性には、心を向けておきたいと思います。

(平成24年度栄光学園中入試問題より 文章は栄光学園国語科による)

……………………………………………………………………………………………………………


いくつか解答に使えそうな箇所がありますが、最後の文「しかし、行動を『マニュアル化』し、それに慣れてしまうことによって、創意工夫や臨機応変の姿勢が失われる危険性には、心を向けておきたいと思います。」を採用しましょう。


マニュアル化のメリット・デメリットが書かれている文章で、最後に「マニュアル化の危険性」として、「創意工夫や臨機応変の姿勢が失われる」こと、と説明されています。

この「創意工夫や臨機応変の姿勢が失われる」こと、を解答に設定しましょう。


では、この解答を正解にするために、どんな設問を作成しますか?


<問>

マニュアル化の危険性とはどういうことですか?「こと」につながるかたちで17字で抜き出しなさい。


この場合は、「マニュアル化」「危険性」というヒントをもとに解答を探すことができます。

ちょっとヒントが安直なので、もう少し問いを洗練させましょう。



<問>

マニュアル化によって生じるマイナス面を「こと」につながるかたちで20字以内で抜き出しなさい。


「危険性」というヒントワードを「マイナス面」に置き換えました。

これに、下線部を設定すれば作問完了です。



<問>

「12行目に『マニュアル化』には、よい面ばかりあるわけではありません」とありますが、「マニュアル化」によって生じるマイナス面を20字以内で本文から抜き出しなさい。


<解答>

創意工夫や臨機応変の姿勢が失われる(こと)。


これで作問完了です。


では、この問題を作問した時、どこがヒントワードになりましたか?

「マニュアル化」「生じる」「マイナス面」ですね。

解く際にここをチェックすることで、解答を探す手がかりになります。


この、「マニュアル化」「生じる」「マイナス面」というワードを手がかりに本文から最適な個所を探す、というのが抜き出しロジックの第1ステップです。

少なくともここまでは反射的にできるようになるまで作業力を鍛えていきましょう。


そのうえで、さらに「マニュアル化によって生じるマイナス面を探せばいいんだな。マニュアルは決まりのようなものだから、決まったことしかできなくなる、とかそういう内容かな」という『予測』をするのが第2ステップです。

これは大人であれば無意識に行っている作業だと思いますが、経験が少ない子どもは意識しないとできない作業です。伴走する大人が言語化してあげる必要があります。



まとめます。

抜き出しの作問は解答箇所を決めることからスタートします。

その解答箇所を答えとして成立するように問題文を作ります。

したがって、問題文の中に正解を導くためのヒントワードがありますので、必ずそのヒントワードをチェックし、何を問われているのか整理しましょう。

そのうえで、「ていうことはこういう内容を探せばいいんだな」という『予測』までできるようになれば怖いものなしです!


【国語を読み解く10のロジック】

その2.抜き出し問題は設問チェックからの予測が勝負

の説明でした!


このロジックは、中学受験Three Starsの動画

・小4上 第4回、第9回

・小4下 第14回

・小5上 第8回

・小6上 第4回、第13回

で扱っています。動画の解説のようにお子様に説明してみてください!


それではまた来週。




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