塾の価値とは ~メリット・デメリット~ ② 集団であること・塾に「通う」ということ
- 倉田 宙
- 2024年3月7日
- 読了時間: 9分

前回の記事では集団塾の価値について、過去最長のレベルで記事を書かせていただきました。これは、新学年をもって久々に今まで担当していなかった生徒を持ったことで思い当たることが多かったことに由来しています。
正直これだけ良くないことが思いついている理由は昨年度に担当したクラスの受験生が今までで最大限に「受験生」として仕上がっていて、学習習慣などがついている方だった(もちろん、私も若造ですから、もっと上手に運営できると思っていますが、現在見ているお子様よりは圧倒的に質が良かったのは事実です)ことが挙げられます。
逆に言えば、それだけ、現在の多くのお子様はもっと良い取り組み方ができる余地を残しているということができるでしょう。
さて、本題に入りますが、デメリットばかりだと問題なので今回はメリットについて述べていきます。
受験生としての自分の経験としては、お山の大将でしたから、集団塾で校舎トップだと全国でトップになれなくても井の中の蛙になって自信がつきますね。また、志望校別クラスに同じ校舎から3人通っていましたから、その子たちとさらに高め合えたと思っています。そして、集団塾の中で「やらかし」をすると相当恥ずかしいです。そういう時に次に絶対それをしないぞという強い気持ちを養うことができたと思っています。
では、これらを踏まえて、ポイントに分けて書いていきましょう。
① クラスという短中期的な目標があること
1学年30人以上いる中規模以上塾であればクラスという概念が存在します。Sであればαだとかなんとか(詳しくなくて申し訳ないです)、Wであれば最低限SS,SB.SAのクラス分け(校舎によっては2,3人のためにSSクラスが存在する校舎もあるようですね。) があり、上のクラスに上がるぞ、あるいは最上位クラスであればここをキープするぞ、というモチベーションが作れることがあります。大規模校舎であればSS,SB,SAにも最大で4クラスほどあったりするらしいですね。そうであればSBなどの中でも上のクラスに上がることが目標といえるでしょう。これはクラスによって授業進度をさらに細分化でき、自分の実力にあった授業を受けられることが挙げられます。少々遠くても大規模校舎に通わせるお子様がいらっしゃるのはここもあるといえます。(ただし、デメリット記事で上げたように、一クラスの人数が多すぎるとお子様を細かく見ることができづらくなるので、どちらがいいかはご家庭でお子様の性格などを考えていただいて選ぶのがよいでしょう。)
② クラス内という小さな競争環境があること
これが何よりも大きいです。クラス内で競い合える仲間、そして、上のクラスへ上がろうという意思、負けん気の強い子は確実に集団が合っているでしょう。
好成績の子を表彰する環境はさらにお子様に「がんばるぞ」という気持ちにさせますし、自分自身が表彰されなかったとしても、周囲が頑張っていることを知ることができます。
お子様の性格にもよりますが、特に偏差値50帯、あるいはそれよりクラスが高くない層では自分がクラス内で表彰されることは数少ない「自分が認められた経験」となるでしょう。
③ (集団の中で)自分自身が注目される意義
成績表彰に関してはたった一人のために(個別)見られるのは当たり前ですが、10人以上いる中で自分が触れられたとしたら「自分のことをちゃんと見てくれているんだ」という意識が生まれるでしょう。次は、あるいは次も頑張ろうという意識が生まれやすいのではないでしょうか。また、小テストで点数が悪かった場合に現実を直視しないですぐにしまってしまうケースも見られますが、そこに対して全体の中で注意されることによってさらに「自分は良くないことをしている」「しっかり現実と向き合わなければ」という意識が上がるのではないでしょうか
個人的な経験としては歴史単元のテストで埴輪を平仮名で答える問題で「はにわ」と答えるところを「ど『く』う」と答えたことがあり、しばらく「理科担当の」先生から突っ込まれ次のテストまで「どくう」というあだ名をつけられたことがあります。ふつうそういうことをすることはあり得ませんが、私の場合、こういうことに全くへこたれないタイプの人間なので、それくらいいってもらえることによって(しかも他科目の担当から)、一問一問にさらに意識を上げて取り組むことができました。それくらい、自分の答案が見られているんだという意識を持てることは大事だと言えます。
④ コメントより声掛けの方が響く
また、宿題にコメントをつけるよりも直接生徒にこれはこうだよとかここ間違えているよという風に言うことの方が効果的だったりします。社会の漢字ミスなどは特に、様々なページに散らばっていますから、講師がコメントをしていてもお子様がどこのどれを間違えたのかがわかりづらかったりします。お子様によっては返された宿題のコメントを全く見ないでカバンにしまってしまう方もいます。漢字テストなども、自己採点やクラスメイトとの交換採点だと、見落としがあることも考えられます。これを講師採点にすることにより、しっかりお子様が間違えやすいポイントを細かく見ることができ、その漢字テストの得点自体は下がる可能性がありますが、実際に漢字を覚えてもらえることにつながるでしょう。また、他のお子様が間違えた漢字を全員が聞くことで自分自身もこの漢字は気を付けなければという意識の高まりを期待することができます。
⑤ 全体に向けた熱意
ここまで、集団の中で個別に声掛けをすることのメリットを述べてきましたが、講師の熱意が全体に向くのはデメリットとは言い切れません。講師が場の空気を作り出すことによってさらに熱意のメッセージ性を強めることが期待できます。これは、昨年度特に感じました。自分が持っている偏差値よりも高いところを目指すお子様が多く、「君たちは逆転しなければいけないんだ」という言葉を何度も何度も繰り返したことによって、お子様たちの勉強に向けたボルテージがどんどん上がっていったのを覚えています。
同じクラスで6年生の後期、11月なのに全然勉強しないお子様がいらっしゃり、ご家庭から相談を頂いてしまうほどのことがありましたが、この時、そのお子様にアプローチをかけるのではなく、クラス全体に「理社で今週勉強してきたものを全部出して」と声をかけたところ、元から頑張っている子の提出する勉強量に感化されて、周りのお子様の勉強量がどんどん増えていきました(その分コメントやチェックは地獄でした笑)。これも「クラス」を運営して皆で高め合っていくことのメリットといえます。
成績面に関しては他人と競うという気持ちが薄いお子様も「周りは頑張っているのに自分はこのままだとまずいぞ」と特に目標校に対して偏差値が足りていない場合に自覚し勉強にさらに熱が入ることが挙げられるでしょう。
⑥ 違う学校の生徒
違う学校の生徒は自分とは少し違う環境で育っているため、少し違う雰囲気を放っていることもあります。でもそのような子と友達になることで、お子様の感性はより豊かになることでしょう。現在の日本もグローバル化、地域によっては中華系、韓国系や東南アジア、欧米、アフリカとのハーフのお子様など国籍が違う生徒もいらっしゃるケースもあります。特にアジア系の他国の方々は韓国では受験戦争、中国の方は富裕層で公立の学校の評判までチェックして住居を変えるほど、お子様への教育熱が高い家庭もございます。そういった自分と違ったお子様と触れ合うことで物語文を読むことに近いくらい様々な多様性を知ることができると考えています。
⑦ 同じ学校の生徒
塾は夕方から夜にかけての授業がメインです。そう考えると、帰りの時間は暗くとても不安ではありませんか?でも途中まで、さらにマンションなどまで同じなら一緒に帰る生徒ができてほぼほぼ安心ですよね…!また、入りたての頃にも同じ学校やクラスの子が塾にいると安心して通うことができます。
⑧ 同じ学校に進む生徒
これもとても大きいと思います。公立中学であれば同じ小学校からはほぼそのまま私立に行かなかったお子様が進学しますが、私立小だとそれがありません。私は塾では同じ学校に進学する子はいませんでしたが、小学校が同じ子や、同じ駅が最寄りの子と仲良くなれました。クラスや部活が違っても⑦と同じように一緒に帰るなどもあり、帰りの電車で一緒に勉強したのを覚えています。
⑨ 志望校別クラス・有資格クラス
最上位クラスなどをキープし続けていると、あるいは長く塾に居続けていると、自分が何のために勉強しているのかわかりづらくなることがあります。特にずっとSSの真ん中(最上位クラスに居続けるけどクラス内トップではないであったり、いわゆる殿上人にはどうしてもかなわず、ずっとSS2)くらいにいたりする場合や、偏差値50をちょっと超えるくらいのお子様(SSクラスに入ってもすぐに落ちてしまう・SSには届かない)は、小6の初めごろになると目標設定が難しくなってくる頃です。その時に志望校別コースに通うことや、Wでいう難関プログレスを目指す、あるいはその中での上位クラスを目指すことが短期的目標として適切なものになっていきます。
⑩ 空気を読む練習
デメリットの方でも挙げましたが、どうしても頭より口が先に動いてしまうお子様はいらっしゃいます。一方で、学校より塾の教室は狭いことが多く、ある程度力のある講師の下では皆が「いまはしゃべってはいけないときだ」であったり、休み時間とかでも「発言するときは他の人の気持ちを考えてしゃべる」であったり、「周りの空気を読む」習慣は集団環境において身につけることが期待できます。空気を読まない発言をしたときにしっかり叱ってくれる講師の下で授業が受けられれば、お子様の精神的成長もさらに見込めると思います。
デメリットの記事は昨年書いたまま放置されていたので、あまり加筆することはなかったのですが、改めてメリットの部分は相当加筆修正しました。
私自身もこうやって文字にすることによって考えをまとめたり、修正したりすることにつながっています。ですから、ご家庭でもお子様に今日先生はどんなことを喋っていた?などと明確な質問をすることによって塾で聞いたことを「自分自身が聞かれている」=個で聞かれている状態にすることができ、全体の中で喋っているのではなく、自分自身もそれを意識しなければならないという意識が生まれてくると思います。
集団塾の集団のデメリットをうまく解消できるようにご家庭でコミュニケーションを図り、メリットをさらに活用しましょう!
こちらも長文になりましたがお読みいただきありがとうございました。






