
中学受験Three Starsの国語担当、大谷です。
「国語の学力を伸ばすためには?」をテーマにしたブログ第22回です。
第20回、第21回で、「対比構造」の文章で出題される記述のロジックを解説しました。
読者の方から問題例をいただいたので、そちらを共有しておいきたいと思います。
<課題文>
日本の建築では、自然との調和が重視されています。
伝統的な日本の建築では、風景や季節の移り変わりを感じることができるような設計や配置が行われており、庭園や広縁、障子や襖など、自然と建築の間に繊細な境界が作られています。
これは、神道や仏教の影響を受けた日本の精神文化に根ざしており、自然は神聖であり、人間と自然は一体であるという考え方が反映されています。
一方、西洋の建築では、自然はしばしば人間の支配や利用の対象として捉えられます。
古代ギリシャやローマの建築では、都市の機能や人間の活動を重視した都市計画や建築物が築かれました。
また、キリスト教の宗教的な観点から、西洋の教会や大聖堂などの建築物は神聖性や威厳を表現するために造られ、自然の要素は装飾や象徴として取り入れられることがありました。
このように、日本の建築では自然を尊重し、調和する姿勢が見られるのに対し、西洋の建築では自然を制御し、利用する姿勢が強調されます。
これらの文化的な違いが、建築物や都市空間における自然観の表現に反映されています。
問.「繊細な境界が作られています」とありますが、どういうことですか。100字以内で答えなさい。
答.人間と自然は一体であるという考え方から、庭園や広縁、障子や襖などを用いて風景や季節の移り変わりを感じられる設計や配置を行っているということ。
言い換え問題として、「繊細な境界」を具体化する問題です。
「繊細な境界」とは具体的に何を指しますか?という問いだと、「庭園や広縁、障子や襖など」が解答になりますが、それを「繊細な境界が作られている」まで線を伸ばすことで、
「作られている」=「設計や配置を行っている」というところまで答えさせる良い問題です。
60字くらいの制限字数であれば、「庭園や~」から解答すればOKですが、もう少し字数をもらえるなら、根っこにある「自然観の違い」に触れることが大切です。
部分点の要素を3つとして、10点配点の問題になりますね。
作問をしてみると解答のロジックも実感できますので、是非チャレンジしてみてください!
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