【国語を読み解く10のロジック】
その2.抜き出し問題は設問チェックからの予測が勝負
中学受験Three Starsの国語担当、大谷です。
「国語の学力を伸ばすためには?」をテーマにしたブログ第9回です。
今回のテーマは、「論理力 抜き出し問題」です。
お子さんの国語の答案を見て、抜き出し問題での空欄が多い場合はチャンスです。
親御さんが抜き出しのロジックをしっかり教えてあげれば、わりとすぐに得点が向上します。
得点が向上すればヤル気も向上して…という好循環になります。
国語へのモチベーションを上げたい場合は、まず抜き出し問題対策から始めましょう。
さて、ではまた今回もロジックを考えるために、皆さんで「作問」に取り組んでみましょう。
まずは次の文章を読んでください。
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「仕事をマニュアル化する」という言い方をした場合の「マニュアル」も手引き書という意味で、仕事の手順を文章などにまとめたものを言います。仕事をするときに、作業手順などの「マニュアル」を作っておけば、誰がやっても仕事内容に大きなぶれや失敗が生じにくくなり、仕事の安定化が図れます。「マニュアル」をきちんと読めば製品を使えるように、仕事も「正しく」「安全に」こなせるということでしょう。ファミリーレストランやコンビニエンスストアなどで客に対応する店員のことばづかいを思い出してみてください。「いらっしゃいませ、こんにちは。ご注文はお決まりでしょうか」といったように、いつでも、どの店員でも、しかもどの店舗でもまったく同じ言い回しで、客に失礼のないようにことばづかいまで「マニュアル化」しているのです。多店舗展開している外食産業や、加盟店を募ってチェーン展開する企業などにとっては、いまや「マニュアル化」は欠かすことのできない方法となっています。
しかし、このような「マニュアル化」には、よい面ばかりがあるわけではありません。
(中略)
また、次のような場合を考えてみてください。会社などの組織では、部下は上司の指示や命令を受けて仕事をし、様々な場面で上司の判断を仰ぎますが、特に、事故など緊急時の対応については、上司や責任者と連絡を取ってから対処するように「マニュアル」が作られていることがあります。けれども実際に事故が発生したとき、「マニュアル」どおりに行動することが必ずしもよい結果を生むとは限りません。たとえば、上司との連絡に手間取ったり、責任者の判断が下るのに時間がかったりして、現場の状況に応じて柔軟な対応をしていれば防げたはずの深刻な事態を招いてしまうようなこともあるでしょう。
さきほど私は、仕事を「マニュアル化」することによって、誰がやっても仕事内容に大きなぶれや失敗が生じにくくなり、仕事の安定が図れると述べました。それは見方をかえれば、仕事に従事する者の考えや判断を排除する方法が「マニュアル化」だということでもあります。したがって、「マニュアル」どおりの仕事からは、新しいものや新しいやり方は生まれてきません。また、「マニュアル」は想定されることがらに対応するように作られていますので、想定外の状況に対しては対処できません。近年、仕事に限らずこうした作業の「マニュアル化」が進み、私たちには「マニュアル」のある生活が当たり前になっています。しかし、行動を「マニュアル化」し、それに慣れてしまうことによって、創意工夫や臨機応変の姿勢が失われる危険性には、心を向けておきたいと思います。
(平成24年度栄光学園中入試問題より 文章は栄光学園国語科による)
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さて、この文章を題材に、抜き出し問題を作るとしたら、どこを下線部にして作問し、どこを解答にしますか?
作問してみると、どういうロジックが正解のために求められるのかが見えてきますよ!
宿題の期限は1週間です。
良い作問は次回ブログで掲載しますので、ご応募お待ちしております。
それではまた来週。
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