中学受験Three Starsの国語担当、大谷です。
「国語の学力を伸ばすためには?」をテーマにしたブログ第3回です。
前回は説明文の要約のポイントをお話ししましたので、今回は論説文の要約のポイントです。
説明文と論説文の違いは何か。それは「筆者の意見」がまとまっているかどうかにあります。(論説文のことを意見文と言ったりもしますね。)
ただ、その違いに注目することはあまり必要ないと思います。
論説文の要約力トレーニングのポイントも、説明文と同じく「具体と抽象の区別」にあります。
具体的な説明や事例をもとに、抽象的に意見をまとめていきますので、「具体と抽象の往復」を意識するトレーニングが最も重要です。
(このトレーニングに良さそうな教材として、『ふくしま式 本当の国語力が身につく問題集』があります)
そのうえで、「意見」を相手(読者)に伝えるための構成というものは一定のパターンがありますので、そのパターンを意識することも重要です。
たとえば、「どうしても任天堂switchが欲しい!」という意見を親に伝えたい子どもがいるとしましょう。
どのようなプレゼンテーションをして説得するでしょうか?
①複数の理由を並べる
「家にいてもみんなで参加できるんだ。あと、ゲットしたモンスターを交換することもできるんだ。それに、…」「だから、どうしても買ってほしい!」
このような構成を、「並立説明型」と名付けましょう。ひとつひとつの説明は要点だけおさえ、「だから何?」というまとめを導くことで要約につながります。
②対比して重要性を訴える
「最近switchを買った〇〇君は、授業が始まる前に前日のゲームの話題で友だちと盛り上がっているんだ。それに比べて僕は…」「だから、どうしても買ってほしい!」
このような構成を、「対比キーワード型」と呼びましょう。AとBというキーワードを意識し、それぞれの説明がどのように対比しているか、そこから何を伝えたいのかをまとめます。
③一般論を否定して訴える
「大人はみんな、ゲームに夢中になることで依存が強くなるっていうけれど、僕はそれは間違っていると思う。なぜなら…」「だから、ゲームを買っても大丈夫だよ!」
このような構成を、「一般論対比型」を呼びましょう。②と似ていますね。一般論を否定する根拠は何か、それに対比している意見はどんな内容か、を意識して読みます。
④問いかけて相手に考えてもらう
「僕がゲームを持っていないことで、今どんなことに困っているでしょうか?……。」「僕はswitchを持っていないことで、こんなことに困っている。だから、すぐに買ってほしい」
このような構成を、「問いかけ→答型」と呼びましょう。問いかけのチェックからスタートし、その問いに対してどのような理由でどのような答えが導かれるのか、を追っていきます。
大人が論説文を読む際には、自然と上記の構成を意識しながら筆者の意見を追っているはずです。
ですが、子どもはそもそも論説文を読んだ経験が少ないので、こういった構成に気づく力がまだついていません。
①~④の型をうまく使いながら要約トレーニングを反復することで、大人のような視点がに身についていきます。
塾でこういった読み方の指導をしてくれていれば安心ですが、残念ながら「正答の解説」が優先されていることが多いです。
お子様が反抗期に入る前に、家庭学習で「要約力」を鍛えてあげられると良いですね。
本日のブログはここまで。
次回は物語文のポイントをお話しします。
ちなみに、Three Starsの会員向け動画では、
・小4下 第8回・第9回
・小5上 第11回
・小5下 第7回
上記の動画で今回の内容を実際の問題を題材に説明しています。
気になる方はご視聴ください。(動画ひとつにつき5分前後で視聴できます)
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